高騰が止まらないお米の価格に対し、小泉進次郎農水相は「備蓄米」の放出に踏み切りました。5キロ1800円という価格で販売予定のこのお米ですが、その中身がなんと「古古古米」――つまり2021年産で、もともとは家畜の飼料として使われるようなものでは?という事実に、SNSやメディアで驚きと不安の声が広がっています。
「1800円って安いの?」
「古古古米って本当にまずいの?」
「どうすれば美味しく食べられる?」
こうした疑問を持つ方に向けて、本記事では古古古米の正体や味の評価、備蓄米として流通する理由、さらに“まずい”と言われる米を美味しく食べる工夫まで、分かりやすく解説します。
古古古米とは?いつ収穫されたどんなお米?

春と初夏の備蓄米放出の違い(収穫年・放出量比較)
放出時期 | 収穫年(産年) | 呼び方 | 放出量 |
---|---|---|---|
2025年春 | 2024年産(令和6年) | 新米 | 約10万トン |
2023年産(令和5年) | 古米 | 約5万トン | |
2025年6月上旬〜 | 2022年産(令和4年) | 古古米 | 約20万トン |
2021年産(令和3年) | 古古古米 | 約10万トン |
「古米・古古米・古古古米」の違いを解説
前年に収穫されたお米を「古米(こまい)」、前々年のものを「古古米(ここまい)」、3年前以上のものを「古古古米(ここここまい)」と呼ぶのが一般的です。この「古」の数は、経過した年数に応じて加えられるシンプルな命名ルールで、あくまで通称ですが、年数が経つにつれて風味や香りに変化が出るため、こうした呼び方が定着しています。
例えば、2025年に流通しているお米について見てみましょう:
年数経過 | 年度 | 呼び名 | 特徴 |
---|---|---|---|
0年 | 2025年産 | 新米 | 香り・ツヤが良く、水分含有量も多め |
1年 | 2024年産 | 古米 | 香り・食感にやや劣化が見られることも |
2年 | 2023年産 | 古古米 | 乾燥が進み、炊き上がりが硬くなる傾向 |
3年 | 2022年産 | 古古古米 | 「古米臭」が強まり、保存状態が品質に直結 |
4年~ | 2021年産以前 | 古古古古米など | 本来は家畜の飼料用として回ることも多い |
特に「古古古米」以降になると、酸化による古米臭(油臭さ)や食感の劣化が進み、炊き方や保存状態によって大きく味が左右されるようになります。そのため、家庭で炊く際には工夫が必要です。
21年産は5年保存の“期限ギリギリ米”
政府が備蓄していた2021年産のコメは、保管期限の5年を迎えるギリギリのタイミング。通常は飼料用や加工用として放出されますが、今回は食用として流通することになりました。
■ 保管期限を迎えた備蓄米の通常の放出先と用途
政府は毎年約20万トンの米を備蓄しています。この備蓄米は最大5年間保管された後、主に以下のような用途に向けて放出されます。
用途 | 主な放出先 | 割合の目安(参考値) |
---|---|---|
家畜の飼料用 | 飼料用米として畜産業者に供給 | 約60~70% |
加工用原料(米菓・せんべい等) | 加工食品メーカー | 約20~30% |
食用(業務用・一般向け) | 学校給食・一部外食・今回のような販売 | 約10%未満(例外的) |
※出典:農水省資料および各報道をもとに構成。割合は年により変動あり。
通常は家畜の飼料に回されるランクだった
古古古米の多くは、食味の低下・変色・においなどの理由から、人の食用には適さないとされ、家畜飼料や酒造・せんべいなどの加工品に使われるのが一般的でした。
5キロ1800円〜2000円の米は本当に安いのか?
【備蓄米 21年産は5kg1800円程度に】https://t.co/NaYMKLj1Ic
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) May 28, 2025
本来、古古古米は家畜の飼料や加工用(せんべい・焼酎など)に回されるケースが一般的です。そのため、1キロ数十円〜百数十円の価格で取引されることも珍しくありません。
つまり、それと同等レベルの米が“5キロ1800円=1キロ360円”で食用として売られる場合、「品質に対して価格が高すぎるのでは?」という声が出るのも当然といえます。
用途 | 想定される価格帯(1kgあたり) | 備考 |
---|---|---|
家畜の飼料用 | 50~150円程度 | 粒の割れ・変色ありでも可 |
加工用 | 100~250円程度 | 味よりも加工性・コスト重視 |
食用古古古米(今回) | 約360円(1800円/5kg) | 品質に疑問の声も。表示義務なし |
価格だけ見れば「お得」に思えますが、本来の用途と比較すると、かえって“高くついている”可能性がある点にも注意が必要です。
価格の違いは、「銘柄米」「備蓄米」「ブレンド米」など種類によって明確に分かれることになるので、消費者側も選択肢が増えることには違いありません。
古古古米はまずいって本当?専門家の評価と理由
専門家「とても味が違う」
一部メディアで紹介された専門家のコメントでは、「新米と比べて、とても味が違う」との評価も。香りや食感、ツヤなど、あらゆる点で古古古米は新米よりも劣るとされています。
「ミヤネ屋」番組で司会者に味を問われて発言したのはコメ流通評論家の常本泰志氏でした。
宮根誠司が、この古古古米について「味的に違うのか、違わないのか」と質問した。
常本氏は「えげつないぐらい違うと思います」と衝撃回答。スタジオは「ええ!」の大声がわき起こった。宮根は「そない違う?」と驚き、山田ルイ53世も「そこそこ食べられるとか、言われへんかったらわからないというのも、聞いたりするけど…」とそこまで味は変わらないと考えていたと訴えた。
引用元:Yahoo!ニュース
古米臭の正体=酸化した油のニオイ
古古古米のにおいの正体は、お米に含まれる脂肪分の酸化。特に「ヘキサナール」と呼ばれる成分が強く発生し、独特の“古米臭”として感じられます。
炊飯器を開けた瞬間の臭いが違うと感じると思うレベルだよって言う話、と前出のコメ流通評論家が番組内でもわかりやすく説明をしていました。
保存状態によって品質の差が出る
保存方法によって劣化の度合いは大きく異なります。冷蔵・低温倉庫で保管された玄米であれば、白米より劣化は遅く、一定の品質を保っていることもあります。
備蓄米に表示義務はある?買っても見分けがつかない?
「備蓄米」と書かれず古古古米と気づけない可能性
現在の制度では「備蓄米」「古古古米」といった表記の義務がなく、スーパーで販売される際に消費者が見分けるのは困難です。
SNSで「家畜に食わせるレベル」と怒りの声
《古古古米なんて、飼料用レベルを国民に回してるってこと?》
《家畜と同じものを1800円で買わせるとか、選挙前の人気取りだろ》
といったSNS上での批判的な声も広がっています。
古古古米を美味しく食べるには?炊き方と工夫を解説

古古古米は、酸化した脂肪分により“古米臭”と呼ばれるにおいが強くなる傾向があります。ですが、以下のような炊き方の工夫やアレンジで、驚くほど食べやすくなります。
■古古古米を美味しく炊く・食べる工夫リスト
【炊き方のポイント】
- 丁寧な研ぎ方
お米同士をすり合わせるようにやさしく研ぐ(古米臭を軽減)
※透明になるまで研がなくてもOK(多少濁っていても大丈夫) - 水を1割多めに加える
古いお米は乾燥しているため、通常より多めの水でふっくら仕上がる - 炊飯前に30分~1時間の浸水をしっかり行う
給水時間を長めにすることで芯残りを防ぐ
裏ワザ?!【意外なひと手間で美味しさUP】
- 🥄 サラダ油を小さじ1/2加える
→ ツヤ出し・コクが出る - 🍶 日本酒を大さじ1~2杯加える
→ 古米臭を抑え、ふんわり炊き上がる - 🍯 ハチミツを数滴たらす
→ 甘みとしっとり感をプラス(炊きあがりが柔らかくなる) - 🍚 もち米を1~2割ブレンド
→ もっちりした食感に。古米のパサつきをカバー - 🍵 緑茶や昆布茶で炊く
→ 香りづけ効果で古米臭をカモフラージュ - ❄ 炊く直前に精米する(家庭用精米機がある場合)
→ 酸化した米ぬかを取り除き、香りも改善される
どれも自宅で簡単に試せる方法ばかりです。
特に「日本酒」「もち米」「精米直前炊き」の3つは効果が高く、味・香り・見た目の印象を大きく変えてくれます。
気になる人は、少量ずつ炊いて試してみるのがおすすめです!

🍚 もち米を1~2割ブレンド、の場合、古古古米とそれぞれ水に浸す時間違いはないの?
🍚【もち米ブレンド時の注意点】
✅ 通常の吸水時間の違い
- 古古古米(うるち米):30分〜1時間の吸水が推奨(ただし、古い米なので1時間以上でもOK)
- もち米:短時間で吸水するが、最低1時間は必要。また、長時間漬けすぎるとベタつくリスクも。
✅ 一緒に炊くときのコツ
- 軽く混ぜてから炊飯器に入れると、炊きムラが出にくい。
- 同じボウルに入れて、最低1時間は一緒に吸水させる。
※できれば**ややぬるま湯(約30℃)**にすることで、古い米の吸水性を補えます。 - 水加減は 古古古米に合わせて1割増し程度 に。
- もち米も水を吸いやすいが、割合が1~2割であれば問題なくバランスがとれる。
✍️まとめ
もち米をブレンドする場合は、古古古米と一緒に1時間以上吸水させ、通常より水を1割多めに加えるのがコツ。ぬるま湯を使えば、古米特有のパサつきもさらに改善されます。
🍳 古古古米を活かす!おすすめ料理リスト
■ パラっと仕上げる料理に最適
- チャーハン
→ 古米は水分が抜けてパラパラになりやすいため、実は炒飯にぴったり。卵や具材で香りも気にならなくなります。 - ピラフ/ジャンバラヤ
→ バターやスパイス、肉のうま味で臭みが気にならず、食感もしっかり。 - ドライカレー
→ カレー粉や香辛料が古米臭を完全にカバー。パサつきも炒め系には好相性。
■ 風味をプラスしてアレンジ
- 炊き込みご飯
→ 出汁・醤油・具材の旨みで味がなじみ、古さが気にならない定番レシピ。 - 雑炊/おかゆ
→ 食感を柔らかく整えるだけでなく、だしで炊くことで風味もアップ。



炊飯器を開けた時の匂いが気になるなら炊き込みご飯がおススメになりそう。
■ 洋風アレンジにも◎
- リゾット(チーズ系・トマト系)
→ お米の芯が残りやすい古米の性質が、リゾットの食感にマッチ。 - ライスグラタン/ドリア
→ ホワイトソースやミートソースと合わせてオーブンで焼けば、香りも食感も気にならない。
おすすめしにくい料理
- 寿司や塩むすびなど「米の味や香り」をダイレクトに感じるものは避けたほうが無難です
→米そのものの質感や香りが前面に出てしまうため
■保存状態が良ければ「それなりにおいしい」?
随意契約で備蓄米が店頭に並ぶ日も近いですが、農水省の農産局貿易業務課の担当者は「食用としての品質管理は徹底している」と強調しています。
農水省によると、備蓄米は国から委託された民間業者が管理を担っており、温度は15度以下、湿度は60~65%にするというルールのもと保管されている。
引用元:日刊ゲンダイ
玄米のまま冷蔵保存されていた古古古米であれば、精米後すぐに炊飯することで、おいしさを最大限に引き出すことも可能です。家庭用精米機がある場合は、炊く直前に精米するのがベストです。
まとめ:古古古米の真相と向き合い方
- 2021年産の備蓄米「古古古米」が、小泉進次郎農水相の政策でスーパーに並び始める
- 本来は飼料用にも回されるランクで、味やにおいに課題あり
- 表示義務がないため、知らずに買ってしまうケースも
- 工夫次第で「そこそこおいしく」食べられるが、炊き方・保存状態に注意
- 安さの裏には理由がある。選ぶ際は情報を確認して判断を