2025年8月13日夜、大阪・関西万博の会場直結「夢洲駅」で停電が発生し、大阪メトロ中央線が長時間にわたり運転を見合わせました。
帰宅ラッシュを直撃したこのトラブルで、多くの来場者が会場や駅前に滞留し、体調不良者も続出。備蓄水の配布は朝4時ごろまで遅れ、パビリオン開放も限定的でした。
本記事では、運転停止から再開までの時系列や現場の様子、遅れた物資配布の理由、そして今後の改善点について詳しくまとめます。
大阪メトロ中央線 夢洲駅混雑の発生概要

大阪メトロの停止・再開の詳細
2025年8月13日午後9時30分ごろ(21時28分説あり)、大阪メトロ中央線のコスモスクエア駅付近で、車両へ電気を供給するレール(電気系統)にトラブルが発生しました。
これにより、夢洲駅~長田駅間の全線が運転見合わせとなり、万博会場最寄りの夢洲駅は入場規制がかかり、多くの来場者が駅前や会場周辺で立ち往生する事態に。
発生場所はコスモスクエア駅~大阪港駅の間で、停電による運行不能が原因です。ちょうど帰宅ラッシュの時間帯で、来場者の足に大きな影響が出ました。
停止~再開までの時系列
今回の運転停止から復旧までの流れは以下のとおりです。
区間 | 停止時刻 | 部分再開 | 全線再開 |
---|---|---|---|
夢洲駅~長田駅(全線) | 8月13日 21:30ごろ(21:28説あり) | 8月13日 22:10ごろ(夢洲駅~コスモスクエア駅間で部分運転) | 8月14日 5:25ごろ(完全復旧) |
コスモスクエア駅付近で電気系統トラブル(停電)発生
夢洲駅~長田駅間 全線で運転見合わせ開始
夢洲駅~コスモスクエア駅間で折り返し運転開始(部分再開)
夢洲駅構内への入場規制が順次解除
会場周辺の混雑と影響

運転見合わせ中、東ゲート直結の夢洲駅入口は閉鎖され、入場できない来場者が会場内や駅前広場に滞留しました。
中には地面に座り込んだり、疲労や熱中症で倒れる人も見られ、36人が体調不良で搬送されたと報じられています。
消防によりますと、13日午後9時半から14日午前7時にかけて万博会場から救急搬送された事例は36件にのぼるということです。いずれも気分不良など熱中症の疑いのある症状ですが、軽症とみられているということです。
引用元:TBS NEWS DIG
通路や広場には長蛇の列ができ、移動もままならない状態が続きました。
会場運営側はパビリオンや休憩所を一部開放しましたが、開放は限定的で、多くの人が屋外での待機を余儀なくされました。
公式ホームページより案内があった解放されたパビリオン▼
- NTTパビリオン
- 電力館 可能性のたまごたち
- GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION
- EXPO ナショナルデーホール
- EXPO 2025 デジタルウォレットパーク
- マネープラザ
- 団体休憩所P25 (他の休憩所も利用可の案内あり)
大阪ヘルスケアパビリオン
特に「大阪ヘルスケアパビリオン」は、深夜の地下鉄運転停止時に休憩用として開放され、多くの帰宅困難者がここで夜を明かしました。空調が効いており、椅子や床に座って仮眠を取る人の姿も見られました。
再開までの帰宅困難者の様子・過ごし方

大屋根リング下での待機
雨天用の大屋根リング下は臨時の照明が点灯され、簡易ベンチも追加設置。ここで座り込みながら待つ人が多く、グループで雑談をしたり、スマートフォンで情報を確認する姿が見られました。
飲食店や各国パビリオンの“神対応”
ドイツ館は菓子類を、ポルトガル館は飲料を提供。
ミッフィーと2ショットを撮れるように開放したというオランダ館
オランダ館はエントランスを開放し、立ったままでも休憩できるスペースを確保。会場内の一部飲食店はフロアを開放して室内待機を可能にし、空調の効いた空間で休む人もいました。
韓国パビリオンのレストランでは飲み物を無料提供✨
神対応!と称賛の投稿が多かったポルトガル館
ポルトガル館が片付けた展示物並べ直して、まさかの入場させてくれた!屋上を開放してくれた!との声も。
万博から帰れない中、ポルトガルの神対応❗️
— Toshiyuki Sasaki (@yukkky0724) August 13, 2025
全パビリオン閉鎖してる中、唯一オープンしてくれてる😭#大阪万博 #EXPO2025 #ポルトガル館 #神対応 #帰宅困難者 pic.twitter.com/QUuQB17j7X
情報不足による不安
公式案内が十分に行き渡らず、水や食料の配布場所が分からないまま待機していた人も少なくありません。英語案内の不足から、海外からの来場者の中には状況把握ができず不安を募らせる様子も目立ちました。
仮眠やスマホ充電
床や壁際に座って仮眠を取る人も多く、モバイルバッテリーを持参している来場者は充電をしながらSNSで運行情報を確認。友人や家族と連絡を取り合い、帰宅の目途を探る姿もありました。
支援物資の配布が遅れたワケと現場の混乱
吉村洋文大阪府知事は深夜、SNSで「災害時と同じ対応を取る」とコメントし、会場内の来場者に対して水や食料などの支援物資を配布する方針を示しました。
しかし、実際に備蓄水の配布が始まったのは14日午前4時ごろ。発表から配布開始までに大きなタイムラグが生じました。
配布が遅れた背景には、以下のような要因が考えられます。
- 想定を大きく上回る来場者数により、当初準備していた物資量が不足
- 備蓄品の一部が会場外や島外の倉庫に保管されており、搬出・輸送に時間を要した
- 現場での指示系統や人員配置の混乱により、配布体制の立ち上げが遅れた
結果として、滞留中の来場者は長時間水分補給ができず、体調不良者が増加しました。
この結果、長時間にわたり水分や食料を受け取れない来場者が多数発生し、体調不良を訴える人も増加。
救護所や搬送先の医療機関は、熱中症や疲労による軽症患者への対応に追われました。
配布開始後の現場の様子
物資配布は、大阪ヘルスケアパビリオンやナショナルデーホール、フードコートなど複数の拠点で行われました。
職員が段ボール箱からペットボトル水を取り出し、一人ひとりに手渡し。中にはビニール袋にまとめて数本を受け取るグループもありました。
簡易食料も一部で配られましたが、在庫が限られており、時間帯によっては水だけの配布となる拠点もありました。
配布情報は場内アナウンスやスタッフの声かけで伝えられましたが、混雑や騒音で聞き取れない人も多く、「どこで配布しているのか分からなかった」という来場者も少なくありません。
一部では長い列ができ、受け取るまでに30分以上待った人もいたと証言されています。
午前4時過ぎにはほぼ全ての拠点で配布が終了しましたが、それまでに受け取れなかった人は、友人や周囲から分けてもらう、持参していた飲み物でしのぐなどして朝を迎えました。
大阪関西万博:非常時の備蓄品
- アルファ米など:60万食
- 飲料水(500ml):190万本
- 幼児用ミルク:5000L
- 簡易トイレ:195万枚
- おむつ(小児/大人)11万2000枚

アルファ米とは??
アルファ米は、一度炊いたご飯を乾燥させた保存食。お湯や水を加えるだけで食べられ、災害時や非常食として広く使われています。常温で長期保存でき、軽くて持ち運びもしやすいのが特徴です。
限定的だったパビリオン開放
深夜の運転停止で、会場内では一部のパビリオンだけが休憩場所として開放されました。
全面開放できなかった理由はこんな感じです👇
なぜ全面開放できなかった?
- 安全&設備の問題
閉館後は施錠・清掃済みで、再開放には安全確認やスタッフ再配置が必要。 - 収容人数の限界
大型パビリオンでも数百人が限界。空調やトイレの準備も必要で時間がかかる。 - セキュリティ確保
館内の設備保護や人員不足で、無制限に入れるのは難しい。
実際に開放された主な施設
- 大阪ヘルスケアパビリオン
- NTTパビリオン
- ガンダムパビリオン
- 他、公式が指定した一部休憩所やホール 等
開放後の様子
それでも多くの来場者は屋外や大屋根リング下で待機
座席や床に腰を下ろし仮眠
スマホを充電しながら運行再開を待つ人も
今回の教訓と今後の改善ポイント
運営側
- 障害発生直後からの積極的な情報発信
- バス・タクシーなど代替輸送手段の即時確保
- 物資搬出・配布の体制を迅速化
- 開放できる休憩場所を事前に指定し、基準を明確化
来場者側
- 公式アプリ・SNSでの情報確認を習慣化
- 水分・軽食・モバイルバッテリーの携行
- 誘導スタッフの案内に従い、慌てず行動する
まとめ
2025年8月13日の夢洲駅停電は、万博会場からの帰宅に大きな混乱をもたらしました。
停止から復旧まで約8時間、その間に滞留・体調不良者が発生し、備蓄水配布の遅れやパビリオン開放の限定性など課題が浮き彫りになりました。
今回の事例は、大規模イベントにおける非常時対応の重要性と、運営・来場者双方の備えの必要性を改めて示した出来事と言えます。